リチウムイオン電池の発送方法|国内・海外の梱包と規制
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リチウムイオン電池を発送したいけれど、「ゆうパックで送れるの?」「モバイルバッテリーは海外へ送れる?」「大容量のリン酸鉄リチウムイオン電池はどうすればいい?」と迷っていませんか。
リチウム電池の発送条件は、電池の種類や容量だけでなく、電池単体なのか、機器と同梱するのか、機器に内蔵されているのかによっても変わります。また、国内配送と国際配送、陸上輸送と航空輸送では、適用されるルールが異なります。
特に、キャンピングカーやポータブル電源、太陽光発電システムで使われる大容量のLiFePO4バッテリーは、一般的な小型電池と同じ方法で発送できるとは限りません。
この記事では、日本国内と海外へのリチウム電池の発送方法を中心に、国連番号、航空輸送の制限、梱包方法、必要書類、配送業者に確認すべきポイントを解説します。
リチウムイオン電池の発送に規制がある理由
破損やショートによる発熱・発火リスク
リチウムイオン電池は、小さな本体に多くの電気エネルギーを蓄えられる便利な電池です。一方で、外部から強い衝撃が加わったり、端子がショートしたり、内部に異常が生じたりすると、急激に発熱するおそれがあります。
重大な異常によって熱暴走が発生すると、高温のガスが放出され、周囲の電池や可燃物へ影響が広がる可能性があります。そのため、輸送時には電池の状態、梱包、表示などが重要になります。
リン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)は、ほかの一部のリチウムイオン電池より熱安定性に優れています。ただし、輸送上はリチウムイオン電池の一種として扱われます。
日本で確認すべき主な輸送ルール
日本では、航空輸送について航空法や関連告示に基づく危険物輸送のルールが適用されます。国際航空貨物では、ICAO技術指針やIATA危険物規則も重要になります。
船舶輸送では「危険物船舶運送及び貯蔵規則」や国際海上危険物規程(IMDGコード)などの確認が必要です。国内の陸上輸送については、輸送対象や関連法令、運送事業者の取扱基準を確認します。
リチウム電池の輸送方法と適用ルール
| 輸送方法 | 主なルール・確認先 | 確認すべき内容 |
|---|---|---|
| 国内陸上輸送 | 国内関連法令・配送業者の取扱基準 | 電池容量、電池の状態、梱包、配送可能地域 |
| 国内航空輸送 | 航空法・関連告示・適用される航空危険物基準 | 航空搭載の可否、容量制限、表示、充電率 |
| 国際航空貨物 | ICAO技術指針・IATA危険物規則 | 国連番号、包装基準、充電率、申告書類 |
| 国際海上輸送 | IMDGコード・国内船舶輸送関連規則 | 危険物の分類、梱包、表示、船積み書類 |
| 日本郵便 | 日本郵便の国内・国際郵便引受条件 | 電池単体・同梱・内蔵の区別、発送先、サービス |
航空貨物の基本的な取扱いについては、国土交通省の航空貨物危険物輸送案内で確認できます。
リチウム電池の国連番号(UN番号)の違い
UN3480とUN3481は何が違う?
リチウム電池の輸送では、内容物に応じて国連番号が割り当てられます。特に重要なのが、UN3480とUN3481の違いです。
リチウム電池の主なUN番号一覧
| UN番号 | 電池の種類・状態 | 発送例 |
|---|---|---|
| UN3480 | リチウムイオン電池単体 | 交換用LiFePO4バッテリー、モバイルバッテリー |
| UN3481 | リチウムイオン電池を機器と同梱 | 機器本体と、取り外した対応バッテリーを同梱 |
| UN3481 | リチウムイオン電池を機器に内蔵 | ノートパソコンや電子機器に組み込まれた電池 |
| UN3090 | リチウム金属電池単体 | 非充電式のリチウム金属電池 |
| UN3091 | リチウム金属電池を機器と同梱・内蔵 | 対象となる一次リチウム電池使用機器 |
| UN3556 | リチウムイオン電池で駆動する車両 | 該当する完成車両の国際危険物輸送 |
例えば、交換用のLiFePO4バッテリーを単体で発送する場合は、一般的にUN3480に該当します。充電器やケーブルを一緒に入れても、それだけではUN3481には変わりません。
モバイルバッテリーと電動車両の扱い
モバイルバッテリーは、スマートフォンなどに給電するための独立した電池として扱われます。そのため、国際航空貨物の分類では基本的にUN3480となります。
電動アシスト自転車の交換用バッテリーも、車両から取り外して単体で発送する場合は、一般的にUN3480に分類されます。
一方、バッテリーを搭載した完成車両は、適用される国際輸送規則において車両専用の分類が必要になる場合があります。
日本国内でリチウムイオン電池を発送する方法
ゆうパックでリチウム電池は送れる?
一定の条件を満たすリチウム電池は、国内のゆうパックで発送できる場合があります。ただし、引受けが可能であることと、航空機に搭載できることは同じではありません。
日本郵便では、航空輸送に使用できるサービスや電池の容量、梱包方法などを定めています。航空輸送の条件を満たさない場合や、条件を確認できない場合は、航空機以外で輸送され、配達が通常より1~4日程度遅れる可能性があります。
詳しい条件は日本郵便のリチウム電池に関する案内で確認してください。
航空輸送できる電池容量の目安
小型リチウムイオン電池の航空輸送では、単電池20Wh以下、組電池100Wh以下という基準が重要です。
電力量は次の式で確認できます。
電力量(Wh)= 公称電圧(V)× 定格容量(Ah)
例えば、12.8V・100AhのLiFePO4バッテリーなら、電力量は1,280Whです。一般的な小型電池の100Wh基準を大きく超えています。
国内発送時の電池容量と輸送方法の考え方
| 確認項目 | 小型の対象電池 | 100Whを超える大容量電池 |
|---|---|---|
| 容量 | 単電池20Wh以下・組電池100Wh以下が主要な基準 | 通常の小型電池向け航空輸送条件から外れる |
| ゆうパック | 梱包・発送形態などの条件を満たせば引受け可能な場合がある | 事前に運送事業者への確認が必要 |
| 航空搭載 | 所定の条件に適合する場合に限られる | 一般的な小型電池向け条件では対応できない |
| 梱包 | 端子保護、短絡防止、適切な外装 | 重量や危険物分類に応じた専用梱包が必要になる |
| 発送前の確認 | 電池の種類・容量・個数・発送先 | 運送可否、輸送経路、必要書類、梱包条件 |
画像について: 以下は米国の陸上輸送ルールをもとに作成された比較図です。日本国内での発送可否は、上記の国内取扱条件および利用する運送事業者の基準で判断してください。

大容量LiFePO4バッテリーの発送
キャンピングカーのサブバッテリー、マリン用バッテリー、家庭用蓄電システム向けのLiFePO4電池は、100Whを超える製品が一般的です。
こうした電池を発送する場合は、一般的な小型電池向けの取扱条件をそのまま利用せず、大容量リチウム電池に対応できる運送事業者に相談してください。
電池の型番、公称電圧、容量、重量、外形寸法、UN38.3試験情報などを伝えると、輸送方法を確認しやすくなります。
破損・膨張した電池は発送できる?
膨張、液漏れ、異常発熱、落下による大きな損傷などが確認された電池を、通常の荷物として発送してはいけません。
安全性に問題のある電池には、専用の梱包や取扱いが必要になります。発送前に販売店やメーカーへ連絡し、適切な回収・返送方法を確認してください。
リチウム電池を海外へ発送する場合のルール
日本郵便の国際郵便で送れる電池
日本郵便の通常の国際郵便では、一定の条件を満たし、機器に取り付けられたリチウム電池を送れる場合があります。
主な条件は次のとおりです。
- 電池が機器に取り付けられていること。
- リチウムイオン単電池が20Wh以下、組電池が100Wh以下などの容量基準に適合すること。
- 原則として1郵便物につき単電池4個、または組電池2個以内であること。
- 短絡、損傷、偶発的な起動を防止する構造・梱包であること。
- 発送先の国・地域が該当する電池入り機器の受入れを認めていること。
注意: 日本郵便の通常の国際郵便では、リチウム電池単体や、機器に取り付けず機器と同梱した予備電池は発送できません。
また、モバイルバッテリーも独立した電池として扱われるため、通常の国際郵便では送れません。
最新の受入条件と対象国については、日本郵便の国際郵便に関する禁制品・危険物案内を確認してください。
UGX国際宅配便と一般の国際郵便の違い
日本郵便のUGX国際宅配便には、通常の国際郵便とは異なるリチウム電池の取扱条件が設けられています。
一定の条件を満たす電池については、機器との同梱や機器内蔵などの発送形態が認められる場合があります。必要なラベルや書類、包装基準、対象国はサービスごとに確認が必要です。
詳しくは日本郵便UGXのリチウム電池取扱条件を参照してください。
航空便でのリチウム電池輸送と2026年の規制
充電率30%以下が必要になるケース
航空貨物では、電池の充電率(State of Charge:SoC)が重要になります。
2026年のIATA危険物規則では、単体で輸送するリチウムイオン電池(UN3480・PI965)は、原則として充電率30%以下での輸送が求められます。
さらに、機器と同梱するリチウムイオン電池(PI966)についても、Section Iおよび2.7Whを超えるSection IIの電池は30%以下が必要です。
機器に内蔵された電池(PI967)については、通常は30%以下が一律の義務ではありませんが、安全対策として低い充電率での輸送が推奨されています。
2026年の航空輸送における主なルール
| 包装基準 | 輸送形態 | 旅客機での貨物輸送 | 充電率の条件 |
|---|---|---|---|
| PI965 | 電池単体(UN3480) | 通常の貨物輸送では禁止 | 原則30%以下 |
| PI966 | 機器と同梱(UN3481) | 適用条件を満たす場合に可能 | Section IおよびSection IIの2.7Wh超は30%以下 |
| PI967 | 機器に内蔵(UN3481) | 適用条件を満たす場合に可能 | 30%以下、または表示残量25%以下を推奨 |

航空便で発送する際の確認事項
航空輸送に対応した電池であっても、すべての航空会社や配送業者が受け付けるわけではありません。
発送前には、対象となる包装基準、充電率、正味重量、危険物申告書の要否、送り先の受入制限を確認してください。
沖縄や離島など国内航空輸送が利用される地域への発送でも、航空搭載できない場合には輸送日数が延びることがあります。
リチウム電池の正しい梱包方法
端子の絶縁とショート防止
リチウム電池を発送する際は、端子同士の接触や金属製品との接触を防ぐことが基本です。
- 端子を保護する: 適切な絶縁キャップなどを使用し、端子が露出しないようにする。
- 電池を個別に保護する: 必要に応じて内装容器を使い、電池同士の接触を防ぐ。
- 衝撃対策を行う: 緩衝材などで電池が動かないように固定する。
- 適切な外装箱を使う: 電池の重量や形状、適用される包装基準に合った箱を選ぶ。
- 誤作動を防ぐ: 機器に電池が組み込まれている場合は、輸送中に電源が入らないようにする。

大型LiFePO4バッテリーの梱包
大型のLiFePO4バッテリーでは、段ボール箱に緩衝材を詰めるだけでは十分とは限りません。
適用される輸送規則によっては、UN規格に適合した容器や、特定の条件を満たす大型電池向けの代替梱包が必要になります。
パレット輸送を利用する場合も、荷崩れ防止、端子の保護、電池の移動防止、適切な表示を行う必要があります。
発送形態別の梱包チェック
| 発送するもの | 梱包時の確認ポイント |
|---|---|
| 小型リチウム電池 | 容量、端子保護、強固な外装、必要な表示 |
| 機器内蔵電池 | 機器による電池の保護、誤作動防止、外装の強度 |
| 機器と同梱する電池 | 電池を個別に保護し、機器や金属部品との接触を防止 |
| 大型LiFePO4バッテリー | 電池の重量に合った容器、固定方法、輸送業者の承認 |
| 破損・異常のある電池 | 通常発送せず、メーカーや専門事業者に相談 |
複数個をまとめて発送する場合
複数の電池や梱包済みの荷物をパレットなどにまとめる場合は、オーバーパックの表示が必要になることがあります。
個々の包装に必要なラベルや国連番号が外側から見えなくなる場合は、適用される規則に従って表示を行います。
リチウム電池の発送に必要な書類
UN38.3試験概要書とは?
リチウム電池の輸送では、UN Manual of Tests and Criteriaの38.3項に基づく試験への適合が重要になります。
UN38.3試験概要書(Test Summary)は、対象となる電池設計について、振動、衝撃、温度変化、外部短絡などの試験情報を示す書類です。
電池を発送する際は、メーカーが提供する該当型番の試験概要書を確認してください。異なるモデルの書類を流用することは適切ではありません。
なお、SDS(安全データシート)は製品の危険有害性や取扱いに関する情報であり、UN38.3試験概要書の代わりにはなりません。
危険物申告書と輸送書類
規制対象の航空貨物や海上貨物では、輸送条件に応じた危険物申告書、適切な品名、国連番号、数量、梱包情報などが必要になります。
書類の種類は輸送モードや包装基準によって異なるため、発送前に運送事業者に確認することが重要です。
発送時に確認したい主な書類
| 書類・情報 | 役割 | 必要となる場面 |
|---|---|---|
| UN38.3試験概要書 | 電池設計の輸送試験情報 | 電池の輸送適合性の確認 |
| SDS | 安全な取扱いや危険有害性に関する情報 | 運送事業者から求められる場合 |
| 危険物申告書 | 危険物としての正式な輸送申告 | 所定の航空貨物・海上貨物など |
| インボイス | 内容品や価格などの通関情報 | 海外発送で必要となる場合 |
| 電池仕様書 | 型番、電圧、容量、重量などの確認 | 配送可否や梱包条件を確認する場合 |
リチウム電池発送でよくある失敗と注意点
国内と国際郵便のルールを混同する
国内のゆうパックで引き受けられる電池が、国際郵便でも送れるとは限りません。特に、電池単体やモバイルバッテリーは、通常の国際郵便で送れないため注意が必要です。
100Ahと100Whを同じものと考える
Ahは電池容量を表す単位、Whは電力量を表す単位です。12.8V・100Ahの電池は100Whではなく、1,280Whです。
容量を誤って申告すると、適切な輸送方法を選べない原因になります。
内容品の申告が曖昧
送り状に「電化製品」「バッテリー関連品」などとだけ記載すると、内容物の確認ができず、航空輸送や引受けに支障が生じる場合があります。
運送業者の案内に従い、電池を含む具体的な品名や必要な情報を正確に申告してください。
破損した電池を通常の返品として送る
発熱、膨張、液漏れなど安全上の異常がある電池を、一般の宅配便で無申告のまま返送することは避けてください。
電池の状態によっては輸送そのものが制限されるため、メーカーや専門の回収事業者の指示を受ける必要があります。
よくある質問
リチウムイオン電池はゆうパックで送れますか?
一定の条件を満たせば送れる場合があります。ただし、国内航空輸送ができるかどうかは、電池の種類、容量、発送形態、梱包などによって異なります。事前に日本郵便の最新条件を確認してください。
モバイルバッテリーは海外に送れますか?
日本郵便の通常の国際郵便では、モバイルバッテリーは電池単体として扱われるため送れません。専門の危険物輸送サービスを利用できるか、運送事業者に相談してください。
100Whを超えるLiFePO4電池は発送できますか?
通常の小型電池向け発送条件には該当しませんが、対応する運送事業者を利用すれば輸送できる場合があります。電池の容量、重量、状態、輸送経路に応じた確認が必要です。
リチウム電池を海外に送るとき、機器と同梱してもいいですか?
日本郵便の通常の国際郵便では、機器に取り付けられていない予備電池の同梱は認められていません。一方、UGX国際宅配便など、別の取扱条件があるサービスでは対応できる場合があります。
リン酸鉄リチウムイオン電池も危険物に該当しますか?
はい。LiFePO4はリチウムイオン電池の一種であり、適用される輸送規則に従って分類されます。安全性の高い電池であっても、輸送規制がなくなるわけではありません。
まとめ:リチウム電池は発送方法と輸送条件の確認が重要
リチウム電池の発送では、電池の種類、容量、発送形態、配送先、輸送方法を最初に確認することが大切です。
日本国内のゆうパックでは条件付きで発送できる電池がありますが、航空搭載には別の制限があります。また、日本郵便の通常の国際郵便では、機器に内蔵されていないリチウム電池は原則として送れません。
大容量のLiFePO4バッテリーや業務用蓄電池については、対応可能な運送事業者を選び、UN38.3試験情報、梱包方法、必要書類を確認してから発送手続きを進めましょう。
参考資料・関連規則
- 国土交通省 — 航空貨物の危険物輸送について
- 日本郵便 — リチウム電池をゆうパックで送る際の注意点
- 日本郵便 — 国際郵便の禁制品・危険物
- 日本郵便 — UGX国際宅配便のオプションサービス
- IATA — 2026年バッテリー輸送ガイダンス
- 国際海事機関 — IMDGコード
